アンビバレンスとは。相反する気持ちを持つ原因と治し方を徹底解説

欅坂46の7thシングル『アンビバレント』で一躍、脚光を浴びたアンビバレンス(アンビバレント)という言葉。

心理学用語で「両価性」や「両面価値」を意味していますが、そう言われたところでいまいちピンとこない人も多いはず……。

ここでは心理学専門ブロガーで、自身もカウンセラーとして活動をする著者が、アンビバレンスの言葉の意味をやさしく解説します。

また、アンビバレンスな心理になる原因を紐解き、具体的な治し方も紹介。

アンビバレンスという言葉の意味を知りたい方、アンビバレンスな心の状態に苦しんでいる方にもやさしい内容になっています。

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アンビバレンスとは

アンビバレンスとは「ひとつの対象に、相反するふたつの気持ちを同時に抱くこと」を言います。

例えば、

  • 好きなのに嫌い
  • ひとりになりたいのに誰かにいてほしい
  • 行きたいのに行きたくない
  • 欲しいのにいらない

etc……

アンビバレンスという言葉は、ドイツ語のアンビヴァレンツ(ambivalenz)に由来し、元々はスイスの精神医学者ブロイラーがつくった造語でした。

ブロイラーはアンビバレンスを精神分裂病のおもな症状と考えていましたが、その後、精神分析で有名なフロイトが度々、病的でない心の状態を説明するのに用いりました。

アンビバレンスは病気ではありません。

それどころか、それそのものが自然な心の状態であったり、本当に言いたいことへのヒントが隠されている場合もあります。

また、よく混同されるアンビバレンスとアンビバレントは名詞と形容詞の違いだけ。

「両価性」「両面価値」を意味する名詞のアンビバレンス(ambivalence)に対し、
形容詞のアンビバレント(ambivalent)は「両価性の」「両面価値の」といった様子を表わす言葉になります。

今回、こちらの記事ではアンビバレンスを使っていきたいと思います。

アンビバレンスな状態になる原因

なぜ、正反対の感情が心に湧いてしまうのでしょうか。
そこには大きくふたつの要因が隠れています。

それは、「そもそも自然である場合」と「本音を隠している場合」です。
一つずつ掘り下げていきましょう。

原因1:そもそも自然である場合

こんな事例があったとします。

Aさんは17歳の女の子。

思秋期真っ只中で、周りは父親と口もきかないという友人も多いなか、
Aさんはお父さんが大好きです。

恋愛に対してもオープンで、恋の悩みもよく打ち明けます。

お父さんは厳しいお母さんと違い、穏やかで家族想いで女性をすごく尊重してくれます。Aさんは将来お父さんのような男性と結婚したいと思っていました。

ところがある日、
Aさんはお父さんが不倫をしているのを目撃してしまいます。

そして、嫌悪感を覚えました。

"大好きなのに大嫌い"

そんなアンビバレンスな気持ちを抱え、自室に閉じこもりました。

Aさんを心配して、お父さんよく部屋を訪ねてくるようになりました。
いつものように優しいお父さん。
お父さんの悲しそうな顔を見ると胸が苦しくなります。

元々、大好きな人に対して、ある時、嫌悪感を抱いてしまった時、人はその心の状態に混乱をしてしまうことがあります。

お父さんの人柄は好き、けれど家族を裏切ったお父さんは嫌い。

けれど、そのどちらもAさんにとって正しく、そのどちらも尊重されるべき気持ちなのです。

ところが、なぜ「大好きなのに大嫌いなのだろう?」と自分の心模様に混乱した時、アンビバレンスという心理状態が着目されて、それ自体に悩まされてしまうのです。

原因2:本音を隠している場合

もうひとつの原因として、「気付かぬ内に本音に隠していること」が挙げられます。

この場合、アンビバレンスな状態は本音を隠して拗ねた結果の姿になります。

けれど、本人は本音に気付いていないので、「自分はなぜこんなに矛盾した気持ちを抱えているのか」とアンビバレンスな結果に着目して苦しんでしまうのです。

導入に挙げた欅坂46の「アンビバレント」の歌詞はその心理状態をよく現しています。

誰かと一緒にいたって
ストレスだけ溜まっていく
だけど一人じゃずっといられない Ambivalent

あっちを立てる気もないし
こっち立てる気だってまるでない
人間関係 面倒で及び腰
話を聞けば巻き込まれる
いいことなんか あるわけないじゃない
それでも誰かいなけりゃダメなんだ

引用:欅坂46の7thシングル『アンビバレント』 歌詞:秋元康

さて、この物語に出てくる主人公をBちゃんとした時、Bちゃんはどんな状態にいて、どんな気持ちなのか想像できるでしょうか。

私にはこんな姿が浮かんできました。

16歳のBちゃん。
都内の高校に通っています。

クラスには心を通わせられる友達はおらず、教室でもひとりぼっち。
けれど、積極的に友達を作りたいとも思っていません。

だって話を聞いたところで
よくあるクラスカーストの闘争に巻き込まれるだけ。

「Bちゃんはどっちの味方?」とかうざい、うるさい。

別にどっちの味方でもないし、仮にどっちの味方になったところで、
結局Bちゃんはこう言ってたよって陰口を言うんでしょう?

あんたらなんか嫌い。

だったら、ひとりがいい。

ひとりでいたい。

でも、誰かにいてほしい……。

きっとそんな気持ちなのではないでしょうか。

「一人になりたい、でも誰かにいてほしい」

Bちゃんの本当に言いたい気持ちがこのアンビバレンスな心理状態のなかに隠されています。

Bちゃんは……
「淋しい」「本当に分かり合える誰かにそばにいてほしい」と言っているのです。

けれど、どうせそんな人現れないし、現実はこんなものだし。
だったらもういい。
だったらいらない!

放っておいてよ!と拗ねた状態になってしまっているのです。

ただ、長らく拗ねの状態が続くと、自分でも一体何でこんな矛盾する気持ちでいるのか分からなくなってしまいます。
本当に欲しいものを見失い、拗ねた感情に自分で混乱しているこの状態こそがアンビバレンスです。

そして、その原因は本音を隠し、拗ねて、本来ほしいものに背を向けてしまっていることなのです。

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アンビバレンスな心理との向き合い方(治し方)

さて、ここで気になってくるのがどうしたらアンビバレンスな心理を乗り越えることができるのかということだと思います。

ただ、もう一度言いたいのはアンビバレンスは病気ではありません。

「治す」という観点でそれを見ると自分のなかにあるアンビバレンスな心を責めてしまうことになりかねません。
「治す」ではなく、「うまく付き合っていく」とか、「向き合う」とかそういった視点で読み進めてください。

それでは、原因1、原因2それぞれの対策を紹介していきます。

対策1:ふたつある気持ちを受け止める

まず、原因1の「そもそもそれが自然である場合」の対策。
それは「ふたつある気持ちを受け止める」ということです。

人はアンビバレンスな感情を抱いた時、どちらかひとつの感情を悪いものとして裁き、無意識下に押し込めてしまうことがあります。
けれど、押し込めた感情は決してなくならず、その人の意識・言動に影響を与え続けてしまいます。

例えば、心に好きと嫌いがあって、嫌いを押し込めた時、その人の前で笑顔でいようとしてもふとした瞬間に露骨に嫌な顔をしてしまったり、嫌味を言ってしまったり……。

そのような心の状態に翻弄され、葛藤し続けると、それが原因となって神経症になってしまうこともあります。

つまり、そもそもそれが自然である場合の苦しみとは、本来それでいいのに、自分の気持ちがふたつあることを自分で赦せず、責めてしまうことなのです。

「ふたつある気持ちを受け止める」とは、まずアンビバレンスは自然なことなので、その自分を責めないでいいということ。

大好きと大嫌い、自分のなかにふたつの気持ちがあっていい。

「大好きなのに、大嫌い?」
「なんで私はこんなことを思うのだろう」
「大好きな人にこんな嫌悪感を抱く自分は嫌なやつだ」


そんなことを思わなくていい。

大好きなのに大嫌いじゃなくて、大好きだから大嫌いなんだよ

先ほどのAさんの例で見ていくと、大好きなお父さんに裏切られたことでまずAさんが傷ついたのです。

もうひとつ付け足すと、嫌いという感情を持った自分を責めてしまったのはお父さんを悲しませたくないというAさんの優しさではないでしょうか。

その気持ちをすべて赦して、認めてあげること。
するとアンビバレンスを責めていた状況から次第に解放されるようになります。

POINT
  • 自分のなかに正反対の気持ちがあっていい。その自分を赦して、認めて、そう思った自分を愛してあげて

また、「自分のなかにある感情を裁かず、認めていく」ことをカウンセリング業界で「ジャッジをやめる」とよく言います。

自分のなかにある気持ちを赦すことは、カウンセリングの大切な基盤です。

私が尊敬する心理カウンセラーで心理業界のパイオニア的存在の心屋仁之助さんは、ジャッジをやめることを長年説いてきました。

今回はそんな心屋さんの「Beトレ」(自分を変えるための心のトレーニングセミナー)の心屋塾BeトレDVD vol.6「ジャッジしない」 (心屋塾Beトレ)を紹介しておきます。

思いやりの力が強いゆえに、人や自分を裁きがちな人には助けになると思います。

対策2:本音を感じ、願いを叶える

原因が「本音を隠している場合」は、自分のなかの忘れ去られた「本音を感じ直し、願いを叶えてあげる」ことで解消していきます。

先ほどの「アンビバレント」の歌詞に出てくる架空のBちゃんの本音とその奥に隠された願いは、
「ひとりぼっちは淋しい。本当は分かり合える友達がほしい」になります。

まず、その本音を見つけてあげるだけでも人の心というのは癒されていきますし、バラバラだった感情がひとつにまとまっていきます。

そこからさらによくしていくには、自分の本音に沿った願いを叶えてあげることです。

Bちゃんの場合だと、
「分かり合える友達を見つけてあげること」。
そのための一歩を踏み出すこと。


習い事やバイトで新しい環境に身を置くのもいいし、インターネットで新しいコミュニティーを持つこともできます。

また、「分かり合える友達」とは具体的にどんな人かを思い描いて、そのような人はどこにいそうなのかを考えてみるのもいいと思います。

いずれにせよ、願いに対してより前向きな行動を取っていくことで、「一人になりたい、でも誰かにいてほしい」というアンビバレンスは次第に解消していきます。

POINT
  • 本音を認めるだけで癒し効果が期待できる
  • 願いに対して具体的なアクションを起こすことで、本音が満たされ、アンビバレンスは解消されていく

私はよく堀江貴文(ほりえもん)さんの書籍を読みます。

堀江さんは歯に衣着せぬ発言で知られていますが、こちらの書籍は「本音で生きることの大切さ」を強く訴えたものです。

「本音に蓋をしてしまう」ことが癖ついている方の応援歌になってくれることと思います。

まとめ

いかがだったでしょうか。

アンビバレンスは人の複雑な心理状態を表わしているように見えますが、実はそれそのものが自然であったり、または「拗ね」の奥に「願い」が埋まっていたりします。

この記事が、自分を知り、少しでも自分らしく生きられるきっかけになれれば幸いです。

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