自分の中にある「投影」を見抜き、本来のあなたに還るコツ
先にも伝えましたが、「投影」の目的は自分が持っている「嫌な部分」を認めたくないために、その「嫌な部分」を影として人に押しつけることで、自らの影から逃れることにあります。
けれど、その嫌な部分とは、本来あなたが持っている影なので、いかにその人を嫌っても、切り離しても、影はずっとあなたについてまわることになってしまいます。
繰り返し嫌いな人が現れる時や問題に突き当たる時は、嫌いな人や問題の対処を考えるよりも、あなたが否定したい自身の感情や衝動を見つけて救い上げた方が、その後の人生がスムーズに回っていきます。
投影は、否定したい感情を見つけ出し、受け入れた時にその魔法が解けるのです。
例えば、「怠けることは悪だ」と信じて、怠け者を裁いていた人が、自分に怠けることを許した時、これまで嫌っていた怠け者を許せるようになっていきます。
投影をされ、あなたに嫌われているあの人は本来のあなたに戻るためのキーパーソンでもあるのです。
ここでは自分の中にある投影をうまく見抜き、本来のあなたの還っていくためのコツをお伝えします。
投影という魔法を解く手順は次の通りに行っていきます。
- STEP1:嫌な感情に着目する
- STEP2:なぜ「嫌なのか」を掘り下げる
- STEP3:本音に寄り添う
- STEP4:自分の中の禁止令を解く
それでは、具体的に見ていきましょう。
STEP1:嫌な感情に着目する
まず、嫌いな人が現れたら、自分の感情に着目をしていきましょう。
「○○さん嫌だなぁ」
「嫌いだなぁ」
「腹たつなぁ」
その人に抱いている感情を素直に吐き出してみましょう。
その時のコツは、自分からしたらいかに醜いと思われる感情が出てきたとしても、それを否定しないことです。
「死んでほしい」
「消えてほしい」
そんな気持ちも「全てあってよし」と認めてあげましょう。
STEP2:なぜ「嫌なのか」を掘り下げる
次に、なぜそこまで嫌いなのか、自分の中にある「嫌い」な理由をあげてみましょう。
「ずるい」
「間違っている」
などの理由が挙がった時は「なぜずるいのか」「なぜ間違っているのか」をさらに深掘りしてみましょう。
例えば、先ほどの「媚びを売っている女が嫌い」という例で見ていきます。
「媚びを売っている女が嫌い」
ーなぜ?
「女であることを使っているから」
ーなぜ、女であることを使ってはいけないの?
「だって、弱いことを武器に助けてもらうのはずるい」
ーなぜ、弱いことを武器に助けてもらうのはずるいの?
「だって、私は助けてもらったことがないから」
「なぜ?」を繰り返すことで、心に眠った傷や悲しさや、本当はこうしたかったという本音が出てきます。
この女性の場合は、「弱いことを理由に助けてもらった経験がない」のです。
そのため「弱いことを理由に助けてもらえないものだ」と信じてしまっているのです。
けれど、本音は「弱いことを理由に助けてもらいたかった」なのです。
まず、この投影の奥に隠された本音にたどり着くよう「なぜ?」を自問自答してみてください。
STEP3:本音に寄り添う
本音を見つけたら、とことんその本音に寄り添ってあげましょう。
寄り添うとは「きちんと感情を感じてあげる」ということ。
この本音の多くは、幼い頃の記憶に繋がっています。
価値観化したあなたの幼い頃の記憶をインナーチャイルドと言います。
詳しくは「【インナーチャイルドとは?】3つの原因と日常に与える影響・癒し方を徹底解説」でも書いていますので、合わせてご覧ください。
先ほどの女性を例に出すと、「助けてもらいたかった」と感じた過去の記憶を思いだし、泣けるなら目一杯泣いてあげるということです。
「あの時、弱くて小さかった私をなぜ助けてくれなかったんだ!」と怒ってもいいです。
紙に当時の感情を書き殴ってもいいですし、子供のように地団駄を踏んでもいいです。
とにかく、「助けてもらいたかった」という感情が落ち着くまで、寄り添って感じ切ってあげましょう。
インナーチャイルドの癒し方は「インナーチャイルドセラピーとは? 自分で行う場合の方法を徹底解説」でも詳しく書いていますので、合わせてご覧ください。
また、「光の心理学」ではインナーチャイルドを癒すオンラインカウンセリングも行っていますので、自身のインナーチャイルドと向き合っていきたい方はご検討ください。
STEP4:自分の中の禁止令を解く
最後に、自分の中の本当の願いを叶えていく訓練をしましょう。
先ほどの例で見ていくと「助けてもらいたかった」が女性の願いです。
そのため、「人に助けを乞う」練習を日常の中でしてあげるのです。
できる範囲でいいので、「やってもらえますか?」「お願いできますか?」と人に言ってみる練習をしてみるといいでしょう。
「媚びを売っている!」と嫌っていた相手はいい手本になります。
どうやったら、気持ちよく人に助けてもらえるのか、その女性を見ながら学んでもいいでしょう。
ただ、抵抗感が強い場合は無理をせず、自分のできる範囲で。
それから、「人に助けてもらってもいい」と毎日呟くこともおすすめします。
これは、なりたい自分を自己宣言していくことで思考を好転させていくアファメーションという手法です。
詳しくは「自信を高めるにはアファメーションが有効!初心者が躓きやすいポイントと効く方法を徹底解説」もどうぞ。
他者からの「投影」された時の対処法
投影とは全ての人の心にある防衛機制のため、自分ではなく、他者から投影をされてしまうこともあります。
突然、嫌われたり、正義感を持って裁かれたり、びっくりするようなこともあるでしょう。
けれど、「自分を改めなくてはいけない!?」と思うとあなた自身も苦しくなってしまいます。
他者からの投影されてしまった時は、ストレスを少しでも軽減し、相手の投影に対処していく必要があります。
そのためのコツは以下の通りです。
- STEP1:相手の感情は相手のものと捉える
- STEP2:適切な距離をおく
それでは、具体的に見ていきましょう。
STEP1:相手の感情は相手のものと捉える
あなたが誰かに敵意を向けられた時、まずその敵意という感情はあなたがいけないからあるのではなく、あくまで相手の中にあるものだと捉えるようにしましょう。
なぜなら、同じように振る舞っていても、あなたのその行動に過剰に反応する人としない人がいるから。
過剰反応とは、あなたの行動をきっかけに相手の衝動や否定された影がうずいているだけなのです。
「自分がいけない!?」と萎縮する必要はありません。
敵意とはあくまで「あなたの中にある相手の影なのだ」と思うと、自分自身に向けられたものでもないことが分かり、落ち着きを取り戻しやすくなります。
あなたはいつものあなたでいましょう。
STEP2:適切な距離をおく
投影をされて敵意を向けられた時、そこに敵意を向け返すと「火に油」になってしまいます。
もちろん、気持ちのよいものではないのですが、あなたの心の健康を一番に考え、相手とはそっと距離をおきましょう。
距離を取ることで、相手からの敵意も向けられにくくなっていきます。
そして、唐突に相手が投影を乗り越えて、あなたへの敵意が止むこともあります。
それもあなたがコントロールできることではないので、相手がそれを乗り越えられるように願いつつ、あなたはあなたの健やかな時間を過ごすことに重点をおきましょう。
まとめ〜人はあなたの心を映し出す鏡〜
「投影」とは、あなたの心の影が他人に映し出されることです。
今、嫌いなあの人にあなたのどんな影が映っているでしょうか。
嫌いな人はあなたの価値観をあぶり出す鏡のような存在。
と同時に、本来のあなたへ還るためのキーパーソンでもあります。
嫌いな人を批判して終わってしまうだけでなく、「なぜ嫌い?」と心に問いかけることで心に置き忘れた宝物に出会うことができるかもしれません。
自分を許せば、人を許せる。
「投影」の原理を知ることで、自分との向き合い方を考えるきっかけになれれば幸いです。
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