連日、ニュースを騒がせている新型コロナウイルスの脅威。
2020年3月4週目から、都内を中心に感染者がこれまでの比ではないスピードで増え始め、オーバーシュート(感染爆発)目前の状態が続いています。
また、2020年3月29日には日本を代表するコメディアンである志村けんさんがコロナウイルス感染による肺炎で亡くなり、日本全土が驚きと悲しみに包まれました。
私もひとりのブロガーとして、また心理学を学んできた身として、ブログを通じ、なにかこの事態に役立てることを発信したい思い、この記事を書いています。
今回のテーマは「恐怖心」。
緊迫ムードが続いているなか、明日は我が身と恐怖心を抱えている方も多いと思います。
もしくは、そこまで意識はしていない方も、これから訪れるかもしれないオーバーシュートやロックダウン、そこに渦巻く恐怖と混乱から自分を守るマインドを身に着けておくことで、今後の役に立つと思います。
「恐怖心の正体」、そして「恐怖心を半減させる方法」をお伝えしていきます。
恐怖心とは
恐怖心とは私たちが抱く怖いという気持ちの総称です。
恐怖心の内、
出展:Wikipedia
具体的な事態になっておらず明確な対象があるがものを「心配」。
また、具体的な事態になっておらず、かつ明確な対象もないものを「不安」という。
ここで着目したいのが、恐怖とは、まだ想像するような事態には至っていないということです。
つまり、恐怖とは出来事に対して、私たちの想像も加わった感情なのです。
恐怖心の正体
恐怖心の正体は、私たちの本能にあります。
この本能の仕組みを理解することが、今回のキーポイントになります。
では、本能とは一体どこからくるのでしょうか。
ここで、私たちの脳にまつわるおもしろい話をします。
1960年代、アメリカ国立精神衛生研究所の脳進化学者ポール・D・マクリーン博士によって提唱された「脳の三位一体論(triune brain)」というものがあります。
人間の脳がまるで三段重ねのアイスクリームコーンのようになっていることを説いたものです。
一段目には「安全を求め、反射で動く」爬虫類脳。
二段目には「群れで動き、情動を感じる」哺乳類脳。
三段目には「成長を願い、未来を想像する」人間脳。
これら3つの脳がひとつとして働いているのが脳の仕組みだというのです。
3つの脳にはそれぞれの特徴と役割があります。
爬虫類脳(反射脳)
まず、私たちの持つ脳のなかでもっとも古い、爬虫類脳(トカゲの脳)は、「反射脳」とも呼ばれている部分です。
この脳の最大の特徴は「安全でいたい」という防衛本能で、その目的から「過去の経験則にこだわり、新しいことを嫌う」という習性があります。
私たちが新しい挑戦をしようとした時、同時に未知への恐怖が湧いてくるのは、この脳が影響しているのです。
人間の生きる上で大切な無意識の心拍や呼吸、体温調節、性行動を司っています。
また、「あいさつ」「攻撃・侵略」「求婚・求愛」「服従」の4種類のコミュニケーションしか取れないと言われています。
哺乳類脳(情動脳)
これは、爬虫類脳の次にできた脳で、感情を司ることから「情動脳」と呼ばれています。
この脳の最大の特徴は「群れで行動する」という本能を持っていること。
また群れのトップになると生き残る確率が高いことから、「トップになること」や「トップにつき従う」といった縦社会の形成本能も担っています。
快/不快の刺激を感じとり、その感覚を「喜び・愛情・怒り・恐怖・嫌悪」といった衝動性の感情へと結びつけます。
犬や馬が爬虫類より、人間に近いと感じるのは感情表現が豊かなためでしょう。
人間脳(理性脳)
最後の脳はもっとも最近できたもので、人間らしい理性を司っています。
目標のために努力をしたり、創造的なことをしたいと思ったり、自己成長を願ったり……。
私たちの未来を切り開くクリエイティブな思考力を持っているのが、この脳の特徴です。
言語機能、学習能力、創造的思考能力、空間把握能力などを持っていて、未来を想像し、思考する役割があります。
本能の起源は動物の脳にある
さて、私たちは進化のスピードが速く、1つの頭にこの3つの脳が同居せざるを得なくなってしまいました。
そのため、私たちが「人間脳」でこうしたい!と思っても、二つの動物の脳がその思考に大きな影響を及ぼしてくるのです。
例えば、あなたが夢のために転職を決めたとした時、爬虫類脳が「なんでこれまでと違った行動を取るんだ!」と怒り、哺乳類脳は「慣れ親しんだ仲間から離れるなんて淋しいよぅ」と嘆きます。
それは、爬虫類脳と哺乳類脳が生き延びるという気持ちを起源に動こうとするため。
つまり、本能の起源とは私たちの進化の過程で生まれた2つの動物の脳の「生き延びたい!」という気持ちなのです。
この3つの脳による混乱。
これを「人間の苦悩」だとマクリーン氏は言ったそうです。
参考記事:
爬虫類脳・哺乳類脳・人間脳|3つの脳の構造でわかる人間の三大欲求
https://swingroot.com/triune-brain/
恐怖心に呑まれないマインドをつくる方法
恐怖が胸の内側から湧いてきた時、気持ちがパニックになりかけた時、それは私たちのなかにある動物の脳が作用しています。
けれど、動物の脳は私たちを混乱に貶めたいわけではないのです。
「あなたを守りたい、生き延びさせてあげたい!」
その思いから、あなたの恐怖心を煽り、パニックにしてしまいます。
また、恐怖心自体も悪いものではなく、私たちにとって、新しい道を拓くための大切な突破口となる感情です。
「自分のなかにある恐怖心を邪魔もの扱いしない」
その前提で、これからの記事を読み進めてください。
恐怖心とうまく付き合うコツ1.恐怖心にラべリングする
恐怖心が湧いてきた時、まず、私たちの動物の脳と仲良くするイメージで、その恐怖心に「そう感じているんだね、それでいいよ」と言ってあげてください。
感情があることを見つけて、それを認めること。
これをマインドフルネスの技術で「ラべリング」と言います。
感情はそれがあることを無視したり、無理に感じないようにすると反発する傾向があります。
「怖いって! 危ないって言っているんだから認めろよー!」と内側からより強い力で反抗してくるのです。
恐怖心は敵じゃない。
その意識で持って、ラべリングをすると「認めてもらえた」と思った恐怖心が、それだけで穏やかになっていきます。
恐怖心とうまく付き合うコツ2.恐怖心に名前を付けて、対話をする
ラべリングした恐怖心に名前をつけると、さらに恐怖心を半減できます。
そのまま、その恐怖心と対話をしてみてください。
例えば、胸のなかに宿った恐怖に「ビクビクくん」と名前をつけてあげたとします。
胸に手を当て、こう聞いてあげてください。
「ねぇ、ビクビクくん。なにがそんなに怖いのかな?」
ビクビクくんが理由を話してくれたら、その言葉を否定せず、認め続けてあげてください。
「そうだよね」
「そう思ったんだね」
「それは怖いよね」
何度も何度も繰り返している内に恐怖は半減していくはずです。
これは先ほどのラべリングより一歩進んだカウンセリング技術で、突発的な感情を落ち着ける方法としてとても有効です。
恐怖心とうまく付き合うコツ3.あとは神のみぞ知る
私たちは未知の恐怖を本来より過剰に捉えすぎてしまうという習性があります。
現時点でコロナウイルス感染対策でできることは以下3点。
・こまめに手洗い・うがいをすること。
・咳・くしゃみのエチケットを守ること。
・3密(密閉、密集、密接)を避けること。
恐怖に呑まれた時は、自分ができること以上の心配をしている場合があります。
「今、自分ができる範囲のことはここまで。あとは神のみぞ知ることだ」と、自分のできる範囲とできない範囲の境界線をみつけると、落ち着きを取り戻しやすくなっていきます。
今、私たちにできること
今、私たちにできることを考えてみましょう。
私たちのなかにある動物の脳は、「恐怖」を糧にここまで生き延びてきました。
生き抜くために、変化を恐れ、群れをなし、縦社会のなかで強いリーダーに従ってきました。
マーケティングや政治の世界でも恐怖を煽り、集団をまとめあげるという手法が常套化していました。
けれど、現在インターネットの発達により、縦社会の壁は壊れたと言われています。
私たちは今「共生の時代」に突入しています。
恐怖を基軸に動くのをやめてみてください。
まず、あなたから。
動物の脳を飼いならし、あなたもあなたの大切な人も幸せになる「思いやり」の行動をとってみてください。
あなたの一歩がこのコロナで荒れる世界の光になると信じています。
愛を込めて。
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