音や匂いに敏感。
満員電車や都会の下水の匂いは気持ち悪くなるし、家族の些細な生活音も気になり出すと辛くなっちゃう…。
なんでこんなに人が気にならないことを気にしちゃうのかな…。
こんなこと、恥ずかしくて家族や友達にも言えない。
音や匂いに敏感なんだね。
それは単なる気にしすぎではなく、もしかして“HSP”かもしれないよ。
- 音や匂いに敏感な「HSPとは何か?」が分かります
- なぜHSPが音や匂いに敏感なのかの原因が分かります
- 実際にあったHSPの音・匂いによる悩み紹介
- HSPの音・匂い対策を紹介
この記事を書くのは、自身も内向型HSPの心理学ブロガーのゆめです。
私自身が音・匂いに敏感で、長年そのことを「気にしすぎなのでは?」と思い、悩んできました。
けれど、HSPをいう気質を知ったことで、自分の敏感な感性が「気にしすぎ」というレッテルで片付けられるものではないことを理解しました。
敏感な感性がそのままであっていいと許す体験は、その後の私の人生をずいぶんと生きやすく変えてくれた大きなきっかけです。
この記事が、同じように「音・匂いに敏感。気にしすぎなのかな?」と悩む誰かに届いていくことを願います。
それでは、早速「音や匂い」に極度に敏感な場合に考えられる“HSP”とは一体どんなものなのか。
その実態に触れていきましょう。
音や匂いに敏感な“HSP”って一体、何?
音や匂いに極度に敏感。
そんな悩みを抱えているあなたはHSPという気質の可能性があります。
“Highly Sensitive Person(ハイリー・センシティブ・パーソン)”の略。
日本語訳で「人一倍繊細な人」という意味を持っています。
HSPとは、アメリカの心理学者エイレン・N・アーロン博士が提唱した人の「気質」で、生まれつき「人一倍繊細なタイプ」こと。
HSPは人を含め、ネコ・イヌ・馬・猿などの高等動物の見られ、全体の15〜20%程度いることが分かっています。
つまり、5人に1人がHSPに該当するのです。
HSPの概念は、【HSPとは?】23の質問によるHSP診断|生きづらさの解消法ありでも詳しく解説していますので、合わせてご覧ください。
HSPは音や匂いを含め、五感に非常に敏感という性質を持っています。
HSPでない人が、何気なく通りすぎてしまうような些細な音や匂いでも、五感の鋭さから情報を大きく受け取ってしまい、皆と同じように通りすぎることができないのです。
すでに気になっていることを、「気にしすぎなのでは?」「気にしないようにしたい」とするのは、あるものをなかったことにするのと同じで不自然になこと。
気になるものは気になる。
それが人としての自然な反応です。
「音や匂いに敏感」
「HSPかも?」
そう感じたら、まずセルフチェックを行って、HSPという気質をありのまま受け止めてみてください。
それだけでずいぶん気持ちが楽になっていきます。
ちなみに私も人ごみでの異常な疲れや音・匂いの過敏性に悩んできた過去があり、「HSPである」という概念に救われた一人です。
HSPセルフチェック
それでは、実際にHSPのセルフチェックを行っていきましょう。
次に用意した項目は、アーロン博士が作成したHSP診断テストで、全23問あります。
感じたままに「はい」か「いいえ」のどちらかを選んでみてください。
- 自分をとりまく環境の微妙な変化によく気づく方だ 〔はい・いいえ〕
- 他人の気分に左右される 〔はい・いいえ〕
- 痛みにとても敏感である 〔はい・いいえ〕
- 忙しい日が続くと、ベッドや暗い部屋などプライバシーが得られ、刺激から逃れられる場所にひきこもりたくなる 〔はい・いいえ〕
- カフェインに敏感に反応する 〔はい・いいえ〕
- 明るい光や強い匂い、ザラザラした布地、サイレンの音などに圧倒されやすい 〔はい・いいえ〕
- 豊かな想像力を持ち、空想に耽りやすい 〔はい・いいえ〕
- 騒音に悩まされやすい 〔はい・いいえ〕
- 美術や音楽に深く心動かされる 〔はい・いいえ〕
- とても良心的である 〔はい・いいえ〕
- すぐにびっくりする 〔はい・いいえ〕
- 短時間にたくさんのことをしなければならない時、混乱してしまう 〔はい・いいえ〕
- 人が何かで不快な思いをしている時、どうすれば快適になるかすぐ気づく(例えば電灯の明るさを調整したり、席を替えるなど) 〔はい・いいえ〕
- 一度にたくさんのことを頼まれるのが嫌だ 〔はい・いいえ〕
- ミスをしたり、物を忘れたりしないよういつも気をつける 〔はい・いいえ〕
- 暴力的な映画やテレビ番組は見ないようにしている 〔はい・いいえ〕
- あまりにもたくさんのことが自分のまわりを起こっていると、不快になり神経が高ぶる 〔はい・いいえ〕
- 空腹になると、集中できないとか気分が悪くなるといった強い反応が起こる 〔はい・いいえ〕
- 生活に変化があると混乱する 〔はい・いいえ〕
- デリケートな香りや味、音楽などを好む 〔はい・いいえ〕
- 普段の生活で、動揺するような状況を避けることを最優先にしている 〔はい・いいえ〕
- 仕事をする時、競争させられたり、観察されていると緊張し、いつもの実力を発揮できなくなる 〔はい・いいえ〕
- 子供の頃、親や教師は自分のことを「敏感だ」とか「内気だ」と思っていた 〔はい・いいえ〕
出典:講談社『ささいなことでもすぐに「動揺」してしまうあなたへ。』
以上の質問のうち12個以上に「はい」と答えたあなたはHSPの可能性が高いと思われます。
けれど、たとえ12個以下であっても、選んだ項目の度合いが特に強ければ、HSPと考えていいでしょう。
HSPが音や匂いに敏感な理由
けれど、なぜHSPの人がここまで音や匂いに敏感なのでしょうか。
そこには、HSPの脳の仕組みが関係しています。
HSPは生まれつき、ストレスを処理する脳の領域(扁桃体)が活発なのです。
扁桃体が活発になってしまうのには、神経伝達物質「セロトニン」が関係しています。
セロトニンは別名「しあわせホルモン」とも呼ばれ、リラックス効果や心のバランスを整える作用があります。
脳は緊張やストレスを感じるとセロトニンを分泌し、ノルアドレナリン(神経を興奮)やドーパミン(快感を増幅)の働きを制御しようとしますが、HSPはこのセロトニンの分泌が弱く、さらにノルアドレナリンやコレチゾール(俗にストレスホルモン)も分泌されやすいのです。
結果として、扁桃体が活発な状態になってしまうのです。
つまりHSPとは、精密な中枢神経系を持っているため、良い刺激にも、悪い刺激にも強く反応する感受性の持ち主ということ。
実は、HSPの仕組みは脳科学の面からも証明されているのです。
実際にあるHSPの音・匂いに関する悩み
続いて、HSPが抱えやすい、音・匂いに関する悩みを見ていきましょう。
私が実際に経験してきたものもあり、HSPの相談でよくあがってくるものも取り上げています。
CASE1:他人の話し声
カフェで落ち着きたくでも、隣の人の話し声が気になって落ち着けない。
それが大声という訳ではなくても、一度気になると読書に集中できない。
HSPは特に大きなサイレンや音が苦手ということはありますが、一度気になるとこうした日常にありふれる音もストレスに感じてしまいます。
カフェでのこのようなシーンは、特に活字に触れている時にストレスになります。
活字と話し声が重なってしまい、頭の中で、情報がこんがらがるような感覚に陥ってしまうのです。
話している内容が不快だった時、話し声が大きかった時は、ストレスがさらに大きくなってしまいます。
CASE2:家族の生活音
家族の些細な生活音が気になって、イライラしてしまう。
テレビの音、話し声、咳払い。どんな小さな音でもダメ。
人が休みたい時に、音があるとそれだけでストレスに感じる。
HSPは感受性が高く、共感の働きを生む“ミラーニューロン”という神経細胞も働きやすいため、特に家族など元々興味のある対象の情報にはアンテナを張りやすくなってしまいます。
そのため例え、些細な生活音でも気になりはじめると、ずっと音に神経を張ってしまうことがあります。
特に休みたい時などは、「休みたいけど気になって休まらない」という悪循環でストレス値が高くなってしまいます。
CASE3:都会の匂い
都会の繁華街は、下水や食べ物、排気ガスなど色んな匂いがして、気持ち悪くなる。
人酔いもあるかもしれない。
HSPはその感受性の高さから、多くの情報をキャッチしてしまう都会や人ごみが苦手な人が多いことが特徴。
人ごみ+都会の雑多な匂いはHSPにとって劣悪な環境。
いろんな情報をキャッチしすぎてしまい、不快に感じてしまいます。
ただ、食事やショッピングなど外出自体は楽しいという一面もあるため、神経が昂り、その場では気づきにくいことも。
その反動が家に帰ってきたあとで襲ってきて、どっと疲れを感じてしまうことも多くあります。
CASE4:人の香水や体臭
満員電車は色んな人の色んな匂いが入り混じっていて辛い。
エレベーターのなかで香水が強い人がいた時もしんどくなる。
匂いに過敏なHSPは衣服についたタバコの匂い、体臭、また、たとえいい香りであってもキツすぎる香水などは不快に感じてしまいます。
また、満員電車やエレベーターなど匂いを避けようもない状況は強いストレスの元です。
それが不快な匂いであっても、いい香りであっても刺激が強すぎる場合は嗅覚の負担になってしまうのです。
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