③ 願いを聞く
インナーチャイルドの感情を発散させてあげたあと、「本当はどうしたかったのか」「どうしてほしかったのか」を聞いてあげます。
インナーチャイルドのネガティブな感情の奥には必ず願いが埋まっています。
それを聞き出してあげてください。
先ほどのインナーチャイルドとの対話のなかにインナーチャイルドの願いがでてきました。
もう一度見ていきましょう。
〜対話の例〜
ーどうして依存をするの?
「淋しいから」
ー淋しいんだね。どんな風に淋しいの?
「ひとりぼっちにされると不安になるの」
ー誰にひとりぼっちにされたの?
「お母さん、いつも留守でずっと待っていた。淋しい。置いていかれるんじゃないかと不安になるの」
ーそうだよね、それは不安になるよね。本当はどうしてほしかった?
「一人にしないでほしかった。置いていかないでほしかった」
ーお母さんにそばにいてほしかった?
「うん」
お母さんにそばにいてほしい。
これが、インナーチャイルドの願いなのです。
インナーチャイルドセラピーでは、まず感情を発散させることで癒しをもたらします。
そして、そこからさらに本当の願いを叶えてあげることで癒しを完成させていくのです。
先程のインナーチャイルドは、お母さんにそばにいてほしいと言っています。
では、その願いを叶えてあげるために、実際お母さんに会いにいって、しばらくそばにいればよいのかというとそうではありません。
おとなのあなたが突然帰省して、「インナーチャイルドの癒しのためにしばらくここにいます」と言ったところで、お母さんは意味が分かりません。
また、理解してくれないお母さんにあなたをイライラしてしまうかもしれません。
叶えるのが難しい願いはイメージのなかで完結させてあげればよいのです。
まず、イメージをしてください。
置いてきぼりにされてばかりだったあの時代の自分が、大好きなお母さんに抱っこされて、「いいこいいこ」とされているシーンです。
お母さんは優しくて、温かくて、いい匂いがします。
「ひとりにさせてごめんね。淋しい思いをさせてごめんね。
もうあなたをひとりにしないからね。落ち着くまでずっとずっとそばにいるからね」
イメージのなかのお母さんはそう言って、落ち着くまであなたのそばにいてくれます。
そのイメージトレーニングをしていくと、次第にあなたの心が満たされていきます。
満たされ、当初の不安や悲しみも解消されていきます。
④ 選び直す
インナーチャイルドセラピーの仕上げのステップ、それが「選び直す」です。
例で見てきた「依存体質」を引き起こすインナーチャイルドは、ひとりにされた淋しさゆえに人にしがみついてきました。
そして、「願いを聞く」のステップで、インナーチャイルドの欲しいものをイメージのなかで与えて安心させてあげました。
これでもだいぶ現実は変わっていくと思います。
なぜなら、依存をする原因になっていた淋しさや不安が解消されて、安心感を得たため、淋しさから人にしがみつくということをしなくてよくなっているためです。
さらに、癒しを仕上げていくために、「選び直す」ということをしていきます。
選び直すとは、これまで選択し続けていた「依存」を手放し、「新しい選択」をすることを言います。
実例を見ていきましょう。
これまで依存を選択し続けて、苦しかった。
依存をすればするほど、パートナーはしんどそうで関係は悪化していった。
だから、依存をする恋愛は長続きがしなかった。
パートナーを変えても状況は変わらなかった。
依存する問題の種は自分のなかにあるのだと気づいた。
だから、未来は依存をしないという選択をしていきたい。
依存とは他人に淋しさを埋めてもらおうとすることだ。
人に自分の欠けているものを満たしてもらおうとするのをやめよう!
これからは、私が私の淋しさと向き合い、満たしてあげよう!
これが、新しい選択です。
新しい価値観を構築していくには、時間がかかります。
そこで、効果的なのがアファメーションという方法です。
アファメーションとは自分にとってよい価値観を刷り込んでいくために行う「自分への声かけ」のこと。
この例の場合は「私は私の気持ちを満たしていきます」などがいいのではないでしょうか。
この肯定的な言葉を毎日、眠る前に30回唱えるなどして、1ヶ月間習慣化してあげてください。
そうすることで、次第に新しい価値観が構築されていきます。
さらには、普段の生活のなかで今、依存していると気づいた時には、積極的にインナーチャイルドに「淋しいのかな?」と声をかけて、自らを満たす訓練を重ねていくとさらにいいと思います。
アファメーションについては「自信を高めるにはアファメーションが有効!初心者が躓きやすいポイントと効く方法を徹底解説」でも詳しく解説しています。

インナーチャイルドセラピーの手順のおさらい
インナーチャイルドセラピーは、
- 気づく
- 発散する
- 願いを聞く
- 選び直す
の流れで進行をしていきます。
それはまるで、こんなイメージです。
①「気づく」……あなたの心のなかにある苦しみの箱の存在に気づく

②「発散する」……その箱を開けると、苦しい感情がいっぱい。全部出してあげる。

③「願いをきく」……本当はこの箱にどんなものを入れたかった?本当に叶えたかった願いを自分に聞こう。

④「選び直す」……どうなったら未来は幸せ?あなたを本当に幸せにする選択を箱のなかに入れていこう!

よくあるのが、早く現実を好転させていきたいため、「発散する」という作業をそこそこに、「選び直す」という行程に入ることです。
けれど、この行程を見てもらうと分かるように、箱のなかにいっぱいの苦しい感情が入っていた時、新しいものは入りようがありません。
インナーチャイルドセラピーは新しい価値観を「入れる」よりも古い価値観を「出す」という作業が大事なのです。
行程には意味があるので、順序を飛ばさず、じっくり取り組んでみてください。
インナーチャイルドセラピーの注意点
インナーチャイルドセラピーは、潜在意識にアクセスをするセラピーです。
問題の根本解決にはとてもよい手段ですが、自分のなかの価値観が崩れていく分、最初はショックを伴うこともあります。
また、トラウマの再現により、一時的に感情の揺れ動きが激しくなることもあります。
場合によっては両親への怒りが湧いてきて、それを本人に直接ぶつけてしまうことも……。
ただその場合、両親はあなたの心の激しい感情の訳を理解できないものですから、関係の悪化を招いてしまいかねません。
できるだけ、感情の発散はひとりで行うようにしてください。
そのほか、注意点を追記しますので、参考にしつつ取り組んでみてください。
カウンセラーに行ってもらう場合
カウンセラーに行ってもらう場合は、そのカウンセラーといてあなたが安心できるかを見極めてください。
安心して、どんな自分でも見せていけそうだ、という感覚がなければ、回数を重ねてもインナーチャイルドが癒えきらないことがあります。
また、いいカウンセラーはあなたより高い目線に立とうとはしませんし、あなたに歩幅を合わせてくれます。
傲慢な態度を取ってくる、過剰なアドバイスをしてくるなど、不安要素があった場合は無理をせず、別のカウンセラーを訪ねてもよいと思います。
私もオンラインでカウンセリングは行っていますので、フィーリングが合うと感じていただけた方はお気軽にお尋ねください。

自分で行う場合
自分で行う場合も、まずは安心できる空間を確保して行ってください。
激しいデトックスの後は、疲労し、眠気がおそってくる場合もあります。しっかり休みを取って、継続できるよう精神と体調を整えてください。
うまく癒せているのか実感がない時や、激しいデトックスが続き心が乱れる時は、一人でやりきろうとせず、カウンセラーを訪ねてください。
その時も、あなたに安心感を与えてくれるカウンセラーであるということが大切です。
まとめ
いかがだったでしょうか。
インナーチャイルドはあなたの人生を左右する大切な存在です。
癒し方を知って、大切につき合っていってください。
癒しの行程ではしんどいこともあるかと思いますが、それに取り組んだことややりきったことは必ずや、あなたの人生の財産になっていくことと思います。




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