心の問題にはインナーチャイルドが大きく関係しているというけど……。
インナーチャイルドって具体的になんなんだろう?
確かに目に見えるものではないから分かりにくいよね。
ここでは、インナーチャイルドとは?という基本的なことから、どうやってインナーチャイルドが生まれるのか、それが日常に与える影響や癒し方、癒すとなにが起きていくのかを話していくよ。
- インナーチャイルドとは何かが分かります。
- インナーチャイルドがどのようにして作られるかが分かります。
- インナーチャイルドの癒し方と癒すと何が起きていくのかが分かります。
インナーチャイルドとは?
インナーチャイルドとは直訳で、“内なる子ども”。
「傷ついた子どもの心」を指します。
さて、私たちの心のなかには、大人になっても”傷ついた子ども”が住んでいるのでしょうか。
普段はそんなことを意識して生活を送っているわけではないので、あまりイメージが湧かないかもしれません。
インナーチャイルドとは別の言葉で言い換えると「価値観」です。
もう少し踏み込んでみると「子ども時代に構築してきたセルフイメージや価値観(ネガティブなものが多い)」。
それをより分かりやすく子どもの姿としてイメージ化したものなのです。
私たちのなかには、いくつものセルフイメージや価値観があります。
それらを言い換えれば、あなたが信じているものです。
- 私はこういうものだ。
- 人はこういうものだ。
- これはいけないことだ。
- これはいいことだ。
そういった信念を元に、人は発言をして、行動をして、選択をして……。
またそれが習慣化して、人格化して、やがてあなたの人生なり運命をつくっていきます。
それを表したマザー・テレサの有名な言葉があります。
思考に気をつけなさい、それはいつか言葉になるから。
マザー・テレサ
言葉に気をつけなさい、それはいつか行動になるから。
行動に気をつけなさい、それはいつか習慣になるから。
習慣に気をつけなさい、それはいつか性格になるから。
性格に気をつけなさい、それはいつか運命になるから。
自分のなかにある、セルフイメージや価値観とはやがて自分の運命を左右するほどの大きな存在なのです。
インナーチャイルドはどのようにして生まれるの?
すべての人の心のなかにセルフイメージや価値観があります。
しかし、それらすべてがインナーチャイルドなのかと言われるとそうではありません。
インナーチャイルドの一番の特徴とは、そのセルフイメージや価値観に自己否定感や怯えや不安など、その多くが「ネガティブな感情」が紐づけられているという点です。
それでは、インナーチャイルドがどのようにして生まれていくのかみていきましょう。
生まれ方は大きく三つに分けることができます。
それが
- 「刷り込み」
- 「傷ついた経験」
- 「愛した経験」
です。
刷り込み(インプリント)
これは主に両親が何度もそう教えたことによって、刷り込まれていくパターンです。
例えば、学校の成績が悪い子に対して「あなたは本当にバカね」とお母さんが言ったとします。
それは、本当に皮肉だったのかもしれませんし、悔しさをバネに頑張ってほしいという叱咤激励の意味だったのかもしれません。
けれど、子供は素直にその否定を否定としてそのまま受け取っていきます。
「あなたはバカね」と言われれば「私はバカなんだ」と信じます。
そして、ますます勉強が苦手になっていきます。
こうして、バカと言われて悲しい記憶とともに、私はバカなのだというセルフイメージができていってしまうのです。
「【自己肯定感が低い原因】高めるための1日30秒のワークも紹介」や「自信を高めるにはアファメーションが有効!初心者が躓きやすいポイントと効く方法を徹底解説」の記事ではインプリントによって低くなった自己肯定感の上げ方を紹介しています。
合わせてご覧ください。
傷ついた経験
これは悲しい、苦しいといった経験から子どもなりに学んだことによってインナーチャイルドが生まれるパターンです。
例えば、お母さんがヒステリックなタイプで、いつ怒るとも分からない爆弾のような人だったします。
すると、子どもは怒られるという恐怖を日常的に抱えていて、人の顔色を無意識に伺うクセがつきます。
「ご機嫌伺い」とは、その子が苦しい日常をなんとか少しでもよくするために学んだ術なのですが、これが大人になっても抜けず、「人にはお伺いを立てないといけない」という価値観として定着してしまうことが多いのです。
そうした経験は、人のなかで緊張を覚えさせ、そのせいで会社でもミスを起こしやすくなるなどの弊害も出てきてしまったりします。
愛した経験
愛が傷になる?
あまり、想像ができないかもしれないのですが、これもよくあるパターンです。
子どもは両親が大好きです。
子どもの主食は両親の笑顔です。
だから、そのふたりが苦しそうな時、自分の気持ちを殺しても、笑顔になってもらいたいと願ってしまうものです。
例えば、貧しい家庭で育ち、お母さんが絶えず生活のなかで我慢をしていたとします。
その状況をお母さんがいかに笑顔で取り繕っていたとしても、子どもにはお母さんが大変なことがよく分かってしまうのです。
「自分がわがままを言ったり、おねだりをしたらお母さんを悲しませてしまう!」
そんな気持ちから「甘えること、頼ること、わがままはいけないこと」という価値観を構築してしまいます。
すると、大人になってもパートナーや友人にも甘えられず、なんでもひとりでやってしまい、けれどその実、重荷に押しつぶされそうになってしまうなど、生きづらさを抱えやすくなってしまいます。
インナーチャイルドが日常に与える影響
一言でいうと「日常のトラブルや問題の種」になっていってしまいます。
インナーチャイルドは否定・恐怖・不安・怒り・悲しみ・怯えなど、その多くがネガティブな感情から生まれた価値観であるということが特徴です。
「人は怖いものだ」と信じるなら、人に怯えて生きてしまうでしょう。
「人は裏切るものだ」と信じるなら、裏切られる前に傷つけようとするかもしれません。
「私はしょうもない」と信じるなら、人にへこへこしていつも自信がなく、積極的にもなれないかもしれません。
そういったネガティブな価値観・セルフイメージは、人との関係にトラブルを生み、本人の生きづらさにも繋がってしまうのです。
そんなんだ……。インナーチャイルドはどうしたら直していけるの?
インナーチャイルドには「直す」という考え方はあまりしないんだよ。
でも、傷ついた価値観を「癒す」ことで、そういったトラブルの根本解決していくことができるよ。
インナーチャイルドを癒すとは?
インナーチャイルドを癒すとは、当時の気持ちを感じ直すことを言います。
また、人の価値観は、私たちが普段意識することができない無意識のなかに存在しています。
そして、無意識には「時間の概念がない」という特徴があるのです。
だから、当時あなたが傷ついたこと、信じたことはそのネガティブな感情もろとも無意識のなかに埋まっていて、本人は「もう過ぎたことだし、今は特に気にしてません」と口では言えど、実は未解決のまま残ってしまっているのです。
癒すとは、イメージワークなどで傷ついた当時の感情を感じ直すことで、心を溶かし、気持ちを解放させてあげることを指します。
「あの時、私は悲しかった。本当は大丈夫だよってお母さんに抱きしめてほしかった」
本当の気持ちを口にして、気持ちを感じきった時、傷ついた価値観は癒されていきます。
十分に癒されたあとで、そこにポジティブで今のあなたを生きやすくする新しい価値観を植え付けていくことで、あなたの人生が好転をしていくようになります。
インナーチャイルドの癒し方
インナーチャイルドには大きく3つの癒し方があります。
カウンセリング
これはインナーチャイルドを癒すために一番ポピュラーな手法です。
心理カウンセラーが運営するカウンセリングルームで、主に対話や誘導瞑想、催眠療法などを用い、イメージのなかでインナーチャイルドと対話をして、傷ついた気持ちを解放していくというものです。
特に、インナーチャイルドに初めて会うという方はまずはプロのカウンセラーにカウンセリングを行ってもらうことをおすすめします。
個人でもインナーチャイルドに会いにいくことはできますし、今はそういった個人のワークの方法などもネットで幅広く紹介はされています。
私もセルフセラピーは日常的にしていますが、真剣に取り組むのであればまずプロの手引きを受けるとよいでしょう。
というのも、インナーチャイルドに寄り添うとは、自分の心に本当に寄り添ってきた人が知っていることなのです。
心理業界に行こうと思う人はそれぞれに深い悩みを抱え、それを解決したくカウンセリングという手法に行き着いたことと思います。
単に心のプロという目線ではなく、同じように躓き、迷って、悩んできた人です。
インナーチャイルドの寄り添い方とはどういうものなのか。
本気で取り組むのであれば一度、そういった悩みの先輩に手引きを受けてみることをおすすめします。
私もオンラインカウンセリングを行っていますので、フィーリングが合うと感じていただけた方はお気軽にお問い合わせください。
セルフセラピー
これは先にも少し述べていますが、ワークや瞑想などを用い、自力で癒していくことをいいます。
一番簡単なもので私も日常的に行っているのは、怒り・悲しみ・苦しみなどのネガティブな感情に支配された時、一度、呼吸を落ち着けて、その感情に「怒っていいよ」と許可を出していくという手法です。
これを感情にラベルを張るという意味で「ラベリング」と言います。
今ある感情を認めることは、その奥にあるインナーチャイルドの訴えを認めることにも繋がります。
それ以上できそうであれば、ラベリングのあと、「怒り」などネガティブな感情と対話をしてみて、あちらの言い分を腰を据えて聞いてあげてください。
それこそ、あなたのインナーチャイルドの訴えです。
その訴えを聞き続けることが癒しに繋がっていきます。
セルフセラピーのやり方についてはこちらで詳しく解説しています。
新しい経験
最後は特にカウンセリングなどを行わず、自然と癒されていくケースです。
人は経験を積んでいく生き物です。
同じインナーチャイルドを抱えたままの場合もありますが、ふとした折に新しい経験を経て、「人は怖いと思っていたけど本当は優しいんだ」と自ら気づいていくようなパターンもあります。
人には心の傷を新しい経験で、自己治癒をしていく能力もあるのです。
ただ、この自然の癒しは得られるかどうかも分からないものですので、向き合いたい方はまずカウンセリングをおすすめします。
インナーチャイルドが癒えるとなにが起きる?
インナーチャイルドが癒えるとこれまで感じていた「問題」が目の前から消えていきます。
それが相手ありきだと思っていたものに対してもそうです。
なぜなら、相手に対して抱くあなたの感情というのは、本来あなたのものなのですから、その感情がクリアになっていくことで目の前の問題と見えていたものも、気にならなくなっていくのです。
問題はいつもあなたのなかにしかありません。
日常的に怒ったり、落ち込んだり、悲しんだり、怯えたりなどそういった感情トラブルが目に見えて減っていくので、日々穏やかで過ごしやすくなっていきます。
また、それだけではありません。
癒えたインナーチャイルドは「ワンダーチャイルド」という別の存在になり、無意識下であなたの応援団のような強い味方になってくれるのです。
あなたの自己実現や本当の夢を叶えるための知恵を内側から与えてくれるようになります。
まとめ
いかがだったでしょうか。
インナーチャイルドとはあなたの過去であり、セルフイメージであり、価値観であり、これからの未来の方向性を決定づける大切な存在でもあります。
日常に抱えている問題の奥には、必ずといっていいほどインナーチャイルドの存在があります。
彼らと真剣に向き合うことで、私もそうでしたが人生は180度変わっていきます。
今が苦しかったとしたら、その時はチャンス。
あなたのインナーチャイルドがあなたになにかを訴えかけている証拠です。
自分の心と向き合うチャンスなのです。
コメント